板倉の家とは
板倉の家とは、戦後大量に植林され伐期を迎えた杉を有効活用し、丈夫で長持ちする、温湿度の安定したすまいとして設計されています。民家の再生を提唱する筑波大学の安藤邦廣教授らの長年の研究によって開発された、現代のライフスタイルに合わせた杉の家です。
板倉構法は4寸角(12cm角)の柱や太い梁の溝に3cm厚の無垢杉板を落し込んで壁をつくるところが特徴です。接着剤で木を張り合わせた合板やグラスウールなどの断熱材、ビニールクロス、化学塗料など石油製品は使わず、床・屋根も杉無垢材をそのまま化粧材として仕上げます。その結果、家をすっぽり杉板で覆う、自然素材のさわやかな空間が生まれます。
板倉はもともと高温多湿な日本の風土において、穀物を一定の温湿度で保存する為の倉づくりに用いられました。正倉院に代表される『校倉づくり』を原型とし、伊勢神宮など神社建築にも応用された伝統的な構法です。
びわこ板倉の家とは
板倉の家は全国各地で建てられていますが、構法のルールに従いながらも設計者や職人たちの独自の工夫によってできあがりは様々です。
「びわこ板倉の家」は滋賀県の南部エリアを中心に展開しています。板倉構法を基本に森林との共生を考えて農林漁業が自然循環することができる環境に優しい家づくりをモットーとしています。その一つに、外壁や内壁にホタテの貝殻をリサイクルして作られた壁材「ホタテ健康壁 あわせ」を漆喰として使用しています。この素材は空気中のCO2と結合して硬化するのでカーボンオフセットに貢献します。
安藤邦廣著:「現代の木造住宅論」より
木造住宅の壁として大変優れた土壁は現代の専門家された住宅生産になじまない。軸組みだけでもたっていけない。かわって普及した断熱材をはさんだ合板と石膏ボードのパネル構法は機密性と断熱性に優れているが、温度変化に加えて湿度変化の大きい日本では断熱だけでなく湿度が居住性を大きく左右する。結露しないことも必須の条件。この点土壁の後釜として迎えた筋交いと断熱材ははなはだ相性が悪い。
今日の木造住宅構法で最大の問題は壁であり、伝統の土壁にかわる日本にふさわしい壁の開発が、現代民家誕生の鍵といえる。日本の壁は板壁から土壁へと変遷し、今再び板壁の時代を迎える状況にある。


安藤邦廣氏(建築士)